2009年1月17日

酒樽屋の道具 其の拾

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樽屋では余り使わない「南京鉋(かんな)」です。
元来、桶屋の道具です。
洋樽屋さんや家具屋さんでも使います。
ですから、樽屋が使う道具の中では唯一、市販されており未だ新品が手に入る物です。

底や蓋(ふた)の周囲を銑(せん)の代りに、これを使って丸く削ります。
銑(せん)よりも容易に使え、便利なので「たるや竹十」でも時々使います。
「大田」という焼印が見えますが、これは私の師匠から形見に頂いた物です。
近所に住まわれていて、よく教えを請いに通っていた大田金蔵さんが
「俺が死んだら、おまえが使え」と言って生前に譲渡を約束して下さっていた品物です。
良い道具は、こうして代々受け継がれて行くもので、大切に使わなければなりません。
残念ながら、道具は譲ってもらいましたが、大田さんから、その技術の全てを学ぶ前に亡くなられてしまいました。
本当に譲ってもらいたかったのは、その技術の方です。

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