2006年6月16日

樽(たる)と桶(おけ)の違い





 

左が板目、右が柾目です。(箍も、ふたつとも桶特有の「組輪」です。左右、組み方が異なります)

樽(たる)と桶(おけ)の違いを解かりやすく書くと、桶(おけ)に蓋が付いた物が樽(たる)です。
見た目は似ていますが工程が全く違います。又、基本的に桶(おけ)は柾目で、樽(たる)は板目で作ります。但し、例外もあります。

樽(たる)にせよ桶(おけ)にせよ永く容器として使う物には必ず板目を使います。
柾目を使う物は「おひつ」や「寿司桶」のように短時間使う物に限られます。
漬物樽(つけものたる)や味噌樽(みそたる)には板目の方が向いています。
なぜなら、柾目は木目を通じて水分が滲み出てしまうからです。



写真は100年物の杉を割った所。
白墨に合わせて縦ないし横にまっすぐに割った物が柾目。
木目にそって、外側から中心に向かって割った物が板目です。
建築材と違って、木目が通っていないと漏れの原因になるので、機械で製材せず、刃物で割ります。
柾目の方がはるかに高価になります。
一度限りの使い捨てが原則である酒樽(さかだる)には板目を用います。



これは、柾目の桶(おけ)ですが、表面を化学物質でコーティングしてあるので、一見きれいです。
又、漏れもありませんが、ニス状の物が木の呼吸を妨げてしまうので、これではプラスチック容器と大差ありません。「たるや竹十」の樽は裏表共、コーティングはしていません。

又、桧(ヒノキ)の樽(たる)や桶(おけ)は、その香りが強すぎて食物には向いていません。

昔から、漬物樽(つけものたる)や味噌樽(みそたる)あるいは清酒の醸造には板目の吉野杉が最もふさわしいと言われております。

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